海外でプレーしたいと考えている人達へ(1):海外でプレーすることの意義

Moin!

2018年9月に初めてドイツに来てから2年3カ月が経ちました。

おかげさまで色々なことを経験させてもらいました。

世界のトッププレーヤーたちと一緒に練習したこと。

日本とは全く違うプレー強度とメンタリティで、驚きつつも、決して手が届かない世界だとは思わなかったこと。

食生活やその他環境の変化に伴うコンディション不良で困ったこと。

結局1部チームで出場機会を得られず、現在所属している2部チームへの移籍したこと。

チームでポジションを獲得し、コーチや仲間から様々な場面で信頼されていると感じれるようになったこと。

プレー以外にも、ドイツでサッカー指導をされている中野さんのお話を伺ったり、日本でホッケーに関わっている方、全く別のスポーツに携わっている方など様々な方と話をし、勉強させていただきました。

そうした経験を通じて、日本人が海外でプレーするということは競技の発展という意味でも、選手としての成長という意味でも意味があることだと、強く感じるようになりました。

そして自身の役割として「海外でプレーする選手を増やす」、ということを意識するようになりました。

若い選手の中には海外でプレーしたいと考えている人が増えてきているというのも聞いていますし、直接連絡をくれた子たちもいました。

相談に共通しているのは、

「海外でプレーすることはどういう意義があるのか」
「どうやったら海外でプレーできるのか」
「語学や環境が変わることへの不安」

という3つです。

僕自身もドイツに来る前はその点がわからず、ネット検索してもピンとくるものが無かったことを記憶しています。

ドイツでプレーをしている一選手として、また社会人としてインドに2年駐在していた経験なども踏まえながら、海外で競技をすること、海外で生活をすることについて、書いていきたいと思います。


日本人選手が海外でプレーすることの意義とは

日本人が海外でプレーすることの意義について、選手個人の成長、そして競技の発展という2つの目線から述べていきたいと思います。

目次
意義1 選手個人の成長を促す
 理由1:高強度でプレーするクセがつく
 理由2:同レベルの対戦相手と多く試合ができる
 理由3:世界トップレベルの選手の試合を身近に観ることで、自分の立ち位置が見える
 理由4:補欠がほぼ存在しない

意義2 国内競技の発展につながる
 理由1:強豪国の常識を取り入れることができる
 理由2:海外との人脈を作ることができる。
 理由3:ルール策定に日本人が関わる。
 理由4:海外の知識を取り入れることができる。

 

意義1 選手個人の成長を促す


理由1:高強度でプレーするクセがつく。

 

多くの日本人選手は無意識下で、練習で100%を出さないことが常態化しています。

こう言うと「いや、俺は毎日全力で限界まで追い込んでいる」、という方もいると思います。

僕もドイツにくるまではそう思っていました!笑

ドイツでたった2時間弱の練習で途中で練習抜けたくなるほどへとへとになった時、これまで自分がやっていた練習は100%ではなかったのだと気づいたのです。

日本で3時間練習をしてその後自主練習をするということを平気でやっていた僕がなぜたった2時間弱の練習でここまで疲れ切ってしまったのか?

その答えは練習量と練習頻度にあります。

僕が所属していたHarvestehuder THCというドイツ1部のチームでは、平日は火曜・木曜に90‐120分ずつの練習。

週末は片方、もしくは両日練習試合をする、というのが通常でした。

つまりホッケーをやるのは週に3-4回です。

学生の多くが週6回、1日3時間以上練習をする日本と比べると非常に少ないといえます。

これは「回復」するにはそれだけの時間が必要、という共通認識があるためです。

週6回、1日3時間以上練習していると、身体が回復していないので100%が出せません

そのため80%から90%ぐらいで練習をすることが常態化します。
本人は100%でプレーしていると認識している、というのがこの時の大きな問題点です。
でも思い返してみてください。
部活を引退して久しぶりにホッケーやったらうまくなってた、って思うことありませんか?
あれの理由の1つは疲れてないからです。

週6回、1日3時間以上やって自主練もして、へとへとになってるよ、という方もいると思いますが、これは低強度で長時間やっているのでへとへとになっている、ということです。
残念ながらホッケーはマラソンではありません。

90分という限られた時間。しかも選手交代に制限のないホッケーでは1回5分程度の出場時間で出し切ることが求められます。
低強度のトレーニングは不要で、高強度のトレ―ニングを中心に行っていく必要があります。

海外に行くことでこの「高強度」の感覚を自然と身に着けられるのは、海外でプレーすることの大きな意義だと思います。

ご参考:海外の練習時間
インドでホッケーをした時は2時間程度の練習で、長時間プレーしませんでした。
オーストラリアも同様と聞いています。
オランダはプロ化が進んでおり、トップチームは練習頻度は多いそうです。それでも週5-6回、1回あたりの練習時間は2時間までで2部練習だとか。
これは僕も是非経験してみたいところですが、高強度での練習をたくさんできる、というのがポイントだと理解しています。
このように子どもの頃から短時間高強度でやる癖がついていることが、強豪国の強さの秘密の1つでしょう。



理由2:同レベルの対戦相手と多く試合ができる。

ドイツでは子どもの頃からリーグ戦です。


年代によっても異なりますが、10歳ごろからホームアンドアウェイで年間約18試合公式戦があります。
さらに冬にはインドアホッケーもあるので、それを加えると30試合公式戦を行うことになります。

またリーグ戦なので、競技レベルが近いチーム同士が対戦します。
そのため、拮抗した良い試合が多くなります

緊迫した試合を年間30試合弱するドイツと比べ、日本はどうでしょうか?

日本では高校生まではインハイ、選抜、国体とトーナメント形式の試合が主流です。
すべての大会を1回戦で負けてしまうチームは年間3試合しかホッケーができないことになります。

また1回戦で実力差がある強豪と当たって10点差つけられて負ける、というのはよくある話です。
これは勝った方も緊張感がなく、上達できない試合ですし、負けた方は言わずもがな自信を失いホッケーを嫌いになってしまうこともあるでしょう。

年間30試合、緊張感のある試合をして育った選手。
対して年間数試合で緊迫感の無い試合しか経験できない選手。

どちらの上達スピードが速いでしょうか?


理由3:世界トップレベルの選手の試合を身近に観ることで、自分の立ち位置が見える。

僕が住んでいるハンブルクという街は人口約180万人(札幌市と同じ)と決して多くありませんが、30以上のホッケークラブがあります(クラブは複数チームを持っているのが通常なので、チーム数で言えば何倍にもなります)。

以前所属していたHarvestehuder THCにはTobias Hauke(ドイツ代表)やMichael Körper(オーストリア代表)、 Nic Spooner(南ア代表)といった錚々たるメンバーがいました。

HTHC以外もハンブルクには一部所属のチームが4チームあり、それぞれハイレベルな選手を揃えています。

クラブのユースチームにいれば、彼らのプレーを間近でみることができますし、週末試合を観に行くことも気軽にできます。

僕もよく試合を観に行きますが、生で彼らのプレーを観ることは本当に勉強になります。

世界のトップで戦う選手を身近に観ることができるのも、海外でプレーする大きなメリットです。

ドイツでは、ハンブルク以外だと西部のケルン周辺にもホッケークラブが多く密集しているのでおススメです。



理由4:補欠がほぼ存在しない。

ドイツでは補欠がほぼ存在しないので、誰でも試合経験を積むことが出来ます。

僕はHTHCにいた時は1部の試合に出場はかないませんでしたが、セカンドチーム(3部)の試合に3カ月で合計6-7試合出場しました。

このように、試合に出られない選手がいないことも海外でプレーする上での魅力だと思います。


意義2 国内競技の発展に繋がる


理由1:強豪国の常識を取り入れることができる。

競技には、試合を観るだけでは分からないことがあります。
「高強度の練習」のレベル感であったり、ジャッジの塩梅や練習内容、競技に取り組む姿勢などは、ビデオを観たり、人づてに話を聞いているだけで理解するのは難しく、実際に現場を経験しないと分からないことが多いです。

日本国内だけをみても、強いチームと弱いチームには多くの違いがあります。
試合を観るだけで伝わるのであれば、今ほどチーム間の競技力の差は無いでしょう。
やはり強いチームには強いチームの「常識」があって、それを選手が共有しているから強いのです。
僕は学生時代慶應大学でホッケーをしていましたが、強豪天理大学で数カ月練習させていただいた時、「常識」の違いをまざまざと感じ、強豪の強豪たる由縁を知りました。

これと同じように、世界トップレベルのチーム/強豪国でプレーすることでしか分からないことは間違いなくあります。
これを知る人が増えて、日本に持ち帰って再現することで、世界トップレベルに近づくことが出来るのではないでしょうか。

「常識」の意味を辞書で引くと「一般の社会人が共通にもつ、またもつべき普通の知識・意見や判断力。」とあります。
一般というのは、この場合大多数の人、マジョリティを指すものでしょう。

数人が海外に出て持ち帰るだけではマジョリティになれません。日本には11,000人のホッケー選手がいるのです。

数十人、出来れば数百人が経験し、それを拡げていくことが重要で、海外でプレーするということにはそれだけで意味があると思います。


理由2:海外との人脈を作ることができる。

海外で長期間プレーすると自然と知り合いも増えていきます。

そうした知り合いと友人関係を結び、それをきっかけに新たに選手が海外でプレーすることになり、その選手がさらに日本人選手を呼んで…ということができるようになると、加速度的に日本人選手の海外進出が進んでいくと思います。

現在、日本人で海外チームと繋げる人は僕が知る限り数名しかいません。

この数を増やすことで、世界との差を縮めることができるのではないでしょうか。


理由3:ルール策定に日本人が関わる。

現在ホッケーのルールを作っているのはヨーロッパが中心です。

ヨーロッパのクラブチームNo.1を決める大会、Euro Hockey Leagueで試されたルール(クオーター制、ハイスティックの緩和など)が、FIH(International Hockey Federation)で承認され国際ルールになっています。

このルールを作るというのはやはり強く、水泳では日本人選手が強さを誇った潜水やバサロと呼ばれる泳法が制限されたり、同じく日本人選手が世界を席巻したスキージャンプでも板の長さに制限がかけられたことなどがありました。

これらは競技性を損なうという理由もあり改正の是非はおいておくにせよ、ルールが変わることで選手の出す結果は大きく変わります。

ホッケーも同じで、ルール変更で有利・不利は必ずでてくるはずで、そこに関わることは重要だと思います。
※当然、自国の有利・不利の為にルール改正するのは認められるものではありませんし、競技性を向上させることが一番の目的、というのは前提にあるとして、の話です。

将来的にヨーロッパで活躍し、認められる選手が出てくれば、ルール策定に関われる日本人も出てくるかもしれません。


理由4:海外の知識を取り入れることができる。

最後は単純ですが、海外の知識を取り入れることができるというメリットがあります。

日本が競技人口11,000人(※登録者数)の中でホッケーを高めているとすれば、それが世界に広がれば何倍もの知識を得ることができます。

ドイツだけでも85,000人の登録者数がいて、世界にはもっとたくさんいます。
そうした人たちと繋がることで一層日本のホッケーは強くなっていくでしょう。

 

最後に

今回は日本人選手が海外でプレーすることの意義について考えてみました。
個人としても日本の競技としても飛躍が期待できると思うのですが、皆さんはどうお考えでしょうか?

日本一を目指すのであれば、海外に出る必要はないかもしれません。
でも世界一を目指すなら海外に出る必要があります。
そして日本一を目指しているあなたも、ライバルが世界に出て上達すれば日本一になれなくなるかもしれません。。。
その時あなたはどうしますか?

次回以降は、僕が海外でプレーをするにあたってどういうステップを踏んだのか。

そして海外でプレーすることのメリットと難しさについて考えていきたいと思います。

続きは以下↓↓

海外でプレーしたいと思っている人達へ(2):海外でプレーするために僕がやったこと

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